髪の毛豆知識

【セルフカラー】注意点・やり方のコツを現役美容師が徹底解説!

美容師をしているものです。

新型コロナウイルスの影響で緊急事態宣言が出ていることもあり、また、なかなか「3密」を避けられない美容室に行きたくても行けない方が増えているようです。

セルフカラーの注意点・やり方のコツを現役美容師が徹底解説!

「根元だけでもヘアカラーしたいな・・・」

「気分を変えるためにも色味を変えたいな・・・」

「どうしても仕事の都合上暗くしなくちゃいけない・・・」

などなど、理由は様々ですがこのような状況で美容室に行けない時にどうしても頼らざるを得ないのが「セルフカラー」になるかと思います。

セルフカラーは、美容師的にはあまり積極的にオススメできるものではないのですが、その理由や、止むを得ない場合の注意点などを中心にお話ししていきます。

セルフカラーと美容室でのヘアカラーを比較!

セルフカラー市販品一例

セルフカラーは、どうしても美容室でのヘアカラーと比較して髪の傷み、ダメージの心配が出てきます。市販品という性質上、髪の毛が染まりにくいような太くて硬い髪質の方でもある程度の結果が出るように薬剤のパワーが強めに調節されているため、特に髪の毛が細い方が使用するとハイダメージに繋がりかねません。

美容室でヘアカラーをする場合は、プロである美容師が髪質に合わせて最適なパワーの薬剤を選択することが出来るので、無用なダメージに繋がるリスクを減らすことが出来ます。

いつも美容院でヘアカラーをされていた方が、「ちょっと急用で急遽家で染めなきゃ・・・」という場合など、たった1回のセルフカラーでも目に見えてわかるぐらいのゴワつきを感じることが出来るほど負担がかかる場合も大いにあるのです。

また、プロの判断で似合う明るさ・色味を選択してくれるので、染めてみてから「明るすぎた・・・」「アッシュ似合わなかった・・・」などと後悔してしまうリスクも減らすことが出来ると言えます。

ただでさえプロの美容師が髪質に合わせて色々な薬剤を調合して、「アッシュっぽさ・ベージュっぽさ」等を表現している美容室でのヘアカラー。

市販で発売されている商品のサンプルの毛束の通りに染められる可能性は美容室でのヘアカラーと比較すると格段に低くなります。

以下に美容室でのヘアカラーとセルフカラーを比較した点をまとめておきます。

美容室でのヘアカラー

美容師がお客様の髪の毛を実際に確認して、たくさんの人毛に触れてきた経験からその方に似合う色や色味の判断、及びその髪の毛に対してベストなパワーの薬剤を選択してくれる。

→→→髪の毛に無用なダメージを与えることなく最小限のダメージで悩みに合わせたヘアカラーが可能!

また、もちろんプロの手によるヘアカラーなので自分では難しい後頭部などの塗り残しの心配もありませんね!

セルフカラー

  • ドラッグストア等で、自分自身でヘアカラー用の薬剤を判断して購入しなければいけないので、似合う明るさ・色味の判断がしにくい
  • 基本的にどのような髪質でもある程度の結果が出るように作られているので、髪質によってはハイダメージに繋がりやすい
  • 気をつけないと家や服が汚れてしまう

このように、必要以上に髪の毛がダメージを受けてしまう恐れが強いセルフカラーは美容師としてあまり積極的にオススメできるものではありません。

しかし、以上のことを踏まえた上で、どうしてもセルフカラーを選択せざるを得ない時の注意点を現役美容師視点で解説していきます。

セルフカラーの種類

市販されているセルフカラーの薬剤は大きく分けて3種類あります。

  • 泡タイプ
  • 乳液タイプ
  • クリームタイプ

泡タイプは髪の毛全体に浸透しやすく、非常に塗りやすい為、一般の方にとっては一番染めるのも簡単ですが、塗布料がしっかり無いとあまり染まらない部分が出てしまいます。

セルフ白髪染め等に多い、乳液・クリームタイプは、専用の刷毛等を使用してピンポイントで染めることもしやすく、薬剤も固めの質感になり、狙っている部分に留まりやすいので、薬剤がしっかりと付着していれば染まり方も非常に良いと言えるでしょう。

続いてセルフカラーのやり方について解説していきます。

髪の毛はドライの状態で!

ドライヤーで髪を乾かす人

セルフカラーをする際は、髪の毛はドライした状態で行いましょう。美容室とは違い、家で濡れた髪の毛でヘアカラーを行うと、ポタポタ垂れてきて目に入ってきたり、床に落ちたりしやすくなってしまいます。

カラー剤を塗る順番に注意!根元付近は染まりやすい!

カラー剤は、基本的に体温の影響で頭皮に近い根元付近が染まりやすくなっています。特に全体を明るめにしたい場合、根元の方が明るくなりすぎてしまう失敗例が多くあるので、まず毛先から染めて根元へと移行していきましょう。

また、もみあげ付近・襟足付近は頭頂部に比べて染まりにくい部分になるので染め始めに薬剤をつけておきましょう。

出来るだけ素早く塗布!

カラー剤は、髪の毛についた瞬間から反応が始まるので、最初に塗布した部分と一番最後に塗布した部分の時間差がありすぎると、仕上がりでの色ムラの原因になってしまいます。

自分でカラーする以上難しいとは思いますが、出来るだけ10分以内で染めるように心がけましょう。

白髪染めの場合はこの性質を利用して、自分が一番気になってしまいやすい部分から塗布すると良いでしょう。(ex.顔まわり・もみあげ・トップの分け目部分etc…)

放置時間に注意!(特に細めな髪質な方)

カラー剤は時間をおけば置くほどよく染まるというわけではありません!薬剤によって正しい放置時間があるので、それ以上放置すると結果は変わらずただただダメージが進んでいくだけになってしまいます。

逆に放置時間が足りないと、思った結果まで染まっていないという恐れがあるので出来るだけ守りたいところなのですが、髪の毛が細くて染まりやすい方などは想像以上に求める結果が早く出てくる可能性が高いので、こまめな色のチェックを心がけましょう。

シャンプー時は乳化(エマルジョン)をしっかりと!

普段美容室でのヘアカラーの際に我々美容師も心がけている事なのですが、「乳化(エマルジョン)」と呼ばれる工程をしっかりと行いましょう!

乳化のやり方は、ヘアカラー後のシャンプー時にいきなり熱いお湯で流すのではなく、ぬるま湯を少しずつ頭部に馴染ませていきます。(2~3分くらい)

そうすることで、熱いお湯とカラーの際に残ってしまうアルカリ残留物との反応を防ぎ、それによるダメージを防ぐことが出来ます。

また、特に白髪染めの場合は顔まわりに残ってしまいがちなカラー剤による皮膚の汚れが、乳化をしっかり行うことで取れやすくなります。

念のため2箱購入しておく

ロングヘア

特にロングヘアで全体のセルフカラーに挑戦するという方。

髪質にもよるのですが、想像以上に薬剤を吸い込むタイプの髪質の方も多いので1箱だと全体をカラーするのに途中で足りない恐れが出てきます。

途中で薬剤が足りなくなったら流してもう一度残りの部分を染めるためにカラー剤を購入しにいく手間だったり、何よりムラにもなりやすくなってしまうので、念のため2箱準備しておくのが良いでしょう。

特に初めての方は希望色よりも1段階(明るめor暗め)を購入

先の項でも述べたように、色の選択が難しいセルフカラー。思った以上にトーンが明るくなってしまったり、はたまた暗くなり過ぎてしまったりなど、想像以上の結果になってしまう場合もあるわけです・・・

※ヘアカラーのトーンやレベルについてはこちらの記事で詳しく解説しています→→→【美容師が教える】ヘアカラーのトーンやレベルって?

そこで、明るくしたい場合は自分の狙いの色よりも少し暗めの商品を。明るい方が暗めにする場合は狙いの色よりも少し明るめの商品を選択しておくと失敗カラーになるリスクを防ぐことが出来ます。

特に暗く色が入りすぎてしまった場合、急遽「やっぱり美容院でなおしてもらおう!」となっても、なかなか暗い色を除去することが出来なくなってしまうケースもあり、色ムラを無くすためにやむなく暗い方に色を統一しなければいけないパターンもあるのです。

パッチテストを行う

「いつも美容室ではアレルギー反応が出たことが無いから大丈夫!」という方でも突然かぶれが出てしまうのがカラー剤によるアレルギー反応(接触皮膚炎)です。

カラー剤の主要成分である、パラフェニレンジアミン、トルエン−2、5-ジアミン等の酸化染料が主に原因となりアレルギー反応を引き起こしてしまいます。

セルフカラーで使用する薬剤は、多くの場合美容室で使用していた薬剤とは違う成分のものになると思うので、これまでにかぶれた事が無いという方でも、必ず製品に記載されているパッチテストを行っておきましょう。

念のため手順の説明をしてくれているサイトも載せておきます。

皮膚アレルギー試験(パッチテスト)の手順|日本ヘアカラー工業会

一度カラー剤でのアレルギー反応を起こしてしまうと顔が腫れ上がって病院に通うことになってしまったり、そもそも今後マニキュア等以外のヘアカラーが出来なくなってしまいます。

前日のシャンプー

セルフカラー前日のシャンプーもできるだけ避けましょう。

セルフカラーの薬剤は、特に敏感肌の方には刺激が強く感じてしまいやすくなります。詳しくはこちらの記事で解説しています→→→ヘアカラーの前日はシャンプーやトリートメントを避けるべき?敏感肌の方は特に要注意!

まとめ

以上のように、セルフカラーは美容院でのヘアカラーとは違い、自分で気にしなけらばいけないことが沢山あります。

ダメージに繋がる可能性も高いので、美容師としてはあまり積極的にオススメできるものではありませんが、どうしてもセルフカラーを避けられないという状況の時は、今回の記事を参考にしていただければと思います。

白髪染めをする方の場合は、白髪染めに特化したセルフカラー時の塗り方のコツを記事にしています→→→【セルフカラー白髪染め】塗り方のコツを現役美容師が徹底解説!

この他にも、美容室になかなか行くことが出来ない時にオススメな記事をいくつか書いています。

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また、やはりもちろん現役美容師としては、セルフカラーよりも美容室でのプロによるヘアカラーがオススメです。最近のヘアカラー剤についてまとめています。

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